見えない「電圧」をどうデザインするか?

ハードウェアとUIを統合する試行錯誤の記録
AccuVoltLinkデザイン開発プロセス

AccuVoltLink 電圧測定システム 完成形 プロダクトデザイン

正確さを「見える化」する、という挑戦

電圧は目に見えません。しかし、医療機器や精密測定の現場では、その正確さが命を左右します。
AccuVoltLinkは、「正確な電圧」技術で社会基盤を支えるテクノロジー企業が開発した、次世代の電圧測定システムです。Balloon Inc.は、このプロジェクトにおいてハードウェアのプロダクトデザインを担当しました。

既存の一般的な測定器とは異なり、今回のプロジェクトで重視したのは「正確さを直感的に感じられるデザイン」。技術的な精度だけでなく、ユーザーが一目で信頼できる存在感を持つこと。それがこのプロジェクトの核心でした。

課題
従来の測定器デザインからの脱却

既存市場の課題意識:測定器市場には、長年変わらない「業界標準」と言われるようなデザインが存在します。

✔️ 外装に露出した機能部品(ネジ・ボルト)
✔️ 無機質なグレー・ベージュの筐体カラー
✔️ 文字情報に頼った操作パネルのデザイン

これらは「合理的な設計」として定着していましたが、同時に「未完成な印象」「古い印象」を与えてしまうという課題がありました。

クライアントからの要望
AccuVoltLinkのチームが求めたのは、技術革新に見合った「これまでにない新しい印象」でした。

アプローチ:
ワンストップだから実現できた統合設計

Balloon Inc.の強みは、プロダクトデザイン(ハードウェア)とUI/UX(ソフトウェア)を同時にデザインできることです。多くの場合、筐体デザインは外部業者、画面設計は社内SEというように分業されます。しかし、それでは「ハードとソフトがちぐはぐ」な製品が生まれてしまいます。

今回のプロジェクトでは、最初から一貫したデザイン言語で統合設計を行いました。

プロセス1:
初期スケッチとアイデア展開|医療機器デザインの起点

初期段階:コンセプトの探索
プロジェクトの初期段階では、クライアントと共に「正確さ」を視覚的にどう表現するかを議論しました。

AccuVoltLink 初期スケッチ プロダクトデザイン

検討した方向性:

✔️ 透明素材の活用 → 内部の精密機構を「見せる」ことで信頼感を演出
✔️ シンプルな幾何学形状 → 無駄を削ぎ落とし、本質だけを残す
✔️ 素材のコントラスト → アクリルとアルミの組み合わせで高品位感を表現

同時に、2つの異なるサイズ(卓上サイズのAVLと、デスクトップPCサイズの二次標準器)を並行して検討。シリーズとしての統一感を保つことも重要な要件でした。

没案から得られた知見
初期のスケッチ段階では、タッチパネルを全面に配置する案も検討しました。
しかし、医療現場や工場など、手袋をつけた状態で操作することも多い環境では、物理ボタンの方が信頼性が高いという結論に至りました。

デザインとは、「格好良さ」ではなく「使われ方」を形にすること。
現場のリアルな声を聞くことで、最適解が見えてきます。

プロセス2:
プロトタイピングとAR検証|実物大モックアップの価値

実物大モックアップの制作
スケッチだけでは分からない「実際の存在感」を確認するため、ラフなモデリングとAR(拡張現実)を活用しました。

検証のポイント:

✔️ 卓上に設置した際の視線の高さでの見え方
✔️ 他ブランドの精密機器と並べた際の存在感の違い
✔️ 内部パーツが実際に収まるか(サイズの妥当性)

この段階で、アクリルの正円から、ローレット加工されたアルミの矩形が突き出すという、最終的なデザインの方向性が固まりました。

AccuVoltLink プロトタイプ モックアップ

プロセス3:
素材と加工の選定|アルミ×アクリルが生む信頼感

なぜ「アルミ削り出し × アクリル」なのか 最終的に選ばれた素材の組み合わせには、明確な理由があります。

素材役割加工方法狙い
アルミニウム本体躯体削り出し + アルマイト処理精密感・高品位感
アクリル前面カバー正円形状 + 塗装透明感・先進性
ローレット加工アルミ部分CNC加工触覚的な品質・グリップ感

特にローレット加工(細かい溝を彫る加工)は、二次標準器とのシリーズ感の統一にも貢献しています。

製品サイズが異なっても、ローレットの幅とピッチを個別調整することで、視覚的な統一感を保ちました。

プロセス4:
LED演出による状態表示|UI/UXデザインの実装

目に見えない「電圧の状態」を光で伝える

測定器として重要なのは、現在の動作状況を一目で理解できることです。
AccuVoltLinkでは、LEDのアニメーションとカラーリングでステータスを視覚的に表現しました。

AccuVoltLink LED状態表示 UI/UX

技術的な工夫:

✔️ アクリルの厚みと塗装を調整し、LED光源を適度に拡散
✔️ 内部パーツの配置を最適化し、均一な発光を実現
✔️ 色の変化とアニメーションで、「測定中」「完了」「エラー」を直感的に区別

これにより、遠くからでも機器の状態が分かるユーザビリティを実現しました。

デザインアウトプット:
機能と美しさの両立

AVL(卓上サイズ)
アクリルの透明感とアルミの質感のコントラストが、「精密さ」と「先進性」を同時に表現しています。

AccuVoltLink プロダクトデザイン

二次標準器(デスクトップサイズ)
本来は隠されるべき「冷凍機システム」を、あえて見せるデザインに。鏡面仕上げのステンレス筒がアクリルカバー越しに見えることで、視覚的なインパクトとコンパクトな印象を両立させました。

AccuVoltLink プロダクトデザイン

メンテナンス性への配慮
測定器は、定期的なメンテナンスが必要です。

従来の課題:
✔️ 正面や側面にネジが露出 → 見た目が未完成
✔️ 内部アクセスが複雑 → メンテナンスに時間がかかる

AccuVoltLinkの解決策:
✔️ 筐体を上下に分割する設計で、内部機構への容易なアクセスを確保
✔️ ネジを側面の段差に隠すことで、正面からはほぼ見えない配置に
✔️ 上部カバーの段差がハンドルとしても機能

AccuVoltLink プロダクトデザイン

機能とユーザビリティ、そして美しさを両立する。
それが、プロフェッショナルなプロダクトデザインです。

このプロジェクトから得られた知見

1. ハード×ソフトの統合設計の重要性
別々に設計すると、どうしても「つぎはぎ感」が出てしまいます。
最初から一貫したデザイン言語で設計することで、ユーザーにとって直感的で信頼できる製品が生まれます。

2. 「見せない美学」と「見せる演出」のバランス
AccuVoltLinkでは:
✔️ 隠すべきもの(ネジ)は徹底的に隠す
✔️ 見せるべきもの(冷凍機システム)は大胆に見せる

こうしたディティールにおけるコントラストがデザインに説得力を与えます。

3. プロトタイピングの価値
モックアップを使った検証は時間がかかります。しかし、実物大で確認することでしか分からない気づきやユーザビリティの検証が可能です。
特に医療機器や精密機器では、現場での使われ方を徹底的にシミュレーションすることが成功の鍵だと考えます。

Balloon Inc. だからできること

このプロジェクトは、Balloon Inc.の以下の強みを活用した事例です:

✔️ プロダクトデザイン(ハードウェア)のデザイン設計力
✔️ UI/UX(ソフトウェア)との統合デザイン設計
✔️ 素材・加工方法の選定からプロトタイピングまでの一貫対応
✔️ ユーザビリティとメンテナンス性への配慮

このプロジェクトのデザインについては以下のデザイン実績にもまとめています。

あなたの技術を、正しく伝えるために

もし、あなたの製品やサービスが

「技術は一流だが、見た目で損をしている」
「使いにくいUIで、現場から不満が出ている」
「測定器や医療機器のデザインを刷新したい」

と感じているなら、ぜひBalloon Inc.にご相談ください。
私たちは、技術の価値を最大限に引き出すデザインを提供します。


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