大規模イベントのデザインについてーEXPO 2025 大阪・関西万博ー

Glassdoorのブランドロゴ刷新事例

大規模イベントにおけるデザイン

2025年4月13日から、「EXPO 2025 大阪・関西万博」が開幕しました。大阪・関西万博期間中の来場者数は約2,820万人を見込んでおり、閑散期ですら一日に13万人以上の来場が予想されています。

会場面積は約155ヘクタール、東京ドーム約33個分に相当します。大阪市の最西端に位置する人工島・夢洲(ゆめしま)に位置し、かなり大規模な印象です。5年(以上)に一度という国際的な催しということで他には類を見ない規模感ですね。(ちなみに1970年の大阪万博では今回の万博の倍の面積を擁したとのことで、今回の大阪・関西万博はかなりコンパクトに実現したと言えそうです)

開幕初日の4月13日に大阪・関西万博の会場へ訪れることができたので、主に会場のサインやオブジェなどのデザインについて書いていきたいと思います。

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会場へのアクセスは東西いずれかのゲートからになります。今回はバスを利用して西ゲートから入場しました。 シャトルバスを降りるとすぐに参加各国の国旗が掲揚されています。映像でよく見る風景ですが、実物を見る機会はそうそうありません。シンプルに配列されているだけですがこれはこれで圧巻です。

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西ゲートの屋根とエントランスの模様です。お昼12時頃ですが、開幕日にもかかわらず並ばずに入場できました。どの程度の人数がこのゲート前で待つ想定なのかは分かりませんが、小雨の降るなかでも入場セキュリティ時には濡れずに対応できました。 ちなみに電車での入場は東ゲートからになるのですが、同じ時間帯に1〜2時間程度待ったという報道もあり、動線の違いでストレスが大きく違います。

おもてなしのサイン

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会場に入ると、地面に大きく「Welcome」と描かれたサインがありました。万博のシンボルマークのカラーを基調にしたデザインで、キャラクターのミャクミャクを思わせる造形です。

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これはフォトスポットとして使えそうなオブジェです。グリーン系のカラーリングでまとまっています。厚みのある板金に塗装を施し、ボルトでしっかりと固定されていました。カラーも鮮やかで背後のパビリオンを隠さないスケールなど、いろいろと工夫が凝らされたデザインです。

また、株式会社バンダイナムコホールディングスによる「GUNDAM NEXT FUTURE PAVILION」は、会場の外に約17mの実物大ガンダムが設置され、多くの人が立ち止まって写真を撮っていました。

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こうしたフォトスポットやオブジェ、壁面アートなど、会場の至る所にちりばめられています。遊び心のある楽しい演出で、こうしたパビリオン外でも楽しめるオブジェやサインは来場者の満足度を上げるのに寄与するものだと思います。

パビリオンの多くは事前予約制で、その抽選にハズれてしまうと当日長蛇の列に並ぶ必要があります。来場者数によっては全員がパビリオンに入場できるわけではなく、そうした観点からもただ会場を歩いているだけで、万博に来た(かのような)印象を持たせる工夫はうまく機能していたのではないでしょうか。

ウェイファインディング(サイン)の
デザイン

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会場周囲に伸びる大屋根のリングは、今回の万博の大きな注目ポイントだと思います。実際にみるスケールの大きさや、会場全体を見下ろす体験は何にも代え難い素晴らしいデザインだったと思います。

また、雨風を防ぐ、目的の場所を探すという意味でも非常に意味のあるものでした。木造の柱の様々な場所にサインやアート作品が掲示されており、位置がわからなくなったらとりあえずリングを目指せばなんとかなる、というわかりやすいウェイファインディングシステムになっていたように思います。

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地上とリング上の二つの視点

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会場のいたるところにあるオブジェクトやサインと同じかそれ以上に、大屋根リングの上から見下ろす会場全景は素晴らしい体験です。高さが20mあるため、階段以外にも昇降用のエスカレーターが設置されています。

ニュースで見た各国のパビリオンのデザインが見られる距離感で、かつ、やや上から見下ろせるというのがポイントですね。パビリオンの建屋は、高さが12〜20m程度とかなり大きくつくられています。地上から見上げると迫力がありますが、なかなか全体像がイメージできないのは惜しいとも思います。

大屋根リングは地上とは異なる視点を来場者に与えることで、(極端に言えば、ひとつもパビリオンに入らなくても)万博に来た祝祭感をうまく演出できていると思います。

初日はあいにくの天気で午後からは暴風雨にもなりましたが、これから半年の間で運営も見直され、より多くの方が訪れる万博になることを願っています。皆さんも機会があれば是非訪れてみてください。

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