プロダクトのデザイン分析01 | 観察スケッチ
![プロダクトのデザイン分析・観察スケッチカバー](https://lloon.jp/wp-content/uploads/2022/07/ProductSketch.webp)
スマートスピーカーやVRヘッドセットなど、新しいカテゴリーのプロダクトが身近なものになりました。
これらのプロダクトの設計思想やデザインは、
これまでの既存カテゴリーのデザインの手法や思想を踏まえながら、様々な工夫が施されています。
今回は「プロダクトのデザイン分析01」と題して
特徴的なデザインを備えたプロダクトについて、観察スケッチの手法でまとめています。
![プロダクトのデザイン分析・観察スケッチ01 BALMUDA The Toaster バルミューダ トースター](https://lloon.jp/wp-content/uploads/2022/07/Balmuda-Toaster_sketch.webp)
BALMUDA The Toaster
価格競争にさらされていた「トースター」という商品を、
水蒸気を用いてトーストするという新しい機能を付与することで
これまでにない絶妙な焼き加減を実現した「The Toaster」のデザイン。
下部左右にあるふたつのダイアルのインダストリアルグラフィック、アイコンデザインも
シンプルで綺麗にまとまっており、わかりやすい操作体系を実現している。
料理を入れる口の周囲も、奥に向かってC面がついたデザインになっており、
指があたるような角の丸みも、それぞれ適切にデザインされている。
5cc程度の水を上部から入れてトーストする、というこれまでに無い操作を行う必要があるが、
附属する小さなカップや刻印によるアイコンによってガイドしている。
このカップを置ける場所やフックがあるといいのでは。
![プロダクトのデザイン分析・観察スケッチ01 Google Home Mini](https://lloon.jp/wp-content/uploads/2022/07/GoogleHome_sketch.webp)
Google Home Mini
掌に乗るサイズのコンパクトな本体は、親しみやすく部屋のどこにも馴染むデザインという印象。
LINEのclovaはサランネットが接着されておらず、周囲に巻いてあるだけだったのに対し、
Google Home Mini は全体的にサランネットが貼り付けてある。
そのため手で持ってもサランネットと本体がずれるような感触は無く、
持ち上げても滑らない一体感があるのはとてもいいデザイン。
ACアダプタもこのプロダクト用にデザインされていて、細部まで気を遣っているのが伺える。
![プロダクトのデザイン分析・観察スケッチ01 oculus](https://lloon.jp/wp-content/uploads/2022/07/Oculusgo_sketch01.webp)
oculus
Meta(元Facebook)から発売された(製造はXiaomi?)、「OculusGo」。
ハードウェアとしての完成度は高い。
樹脂とファブリック、バッテリー、光学系など異なるパーツをアセンブルする難易度の高いプロダクトであるにもかかわらず、全体としてまとまりがあり、ディティールの処理や細かい気遣いも多々見られる。
セットアップこそスマホが必要だが、基本スタンドアロンでVRが楽しめるのは、
体験までのハードルが低く設計されたUI/UXも大きく寄与している。
うした辺りはほんと素晴らしいと思いました。
コンテンツによっては頭を左右に振る操作があが、
このサイズのヘッドセットをつけたまま長時間頭部を動かすには、本体自体が少し重い。
![プロダクトのデザイン分析・観察スケッチ01 oculus](https://lloon.jp/wp-content/uploads/2022/07/Oculusgo_sketch02.webp)
左右の可動する板状のパーツの横にスリットを開けてスピーカーそ仕込んであり、
存在を感じさせないけどきちんと音が聞こえる、という点もいいデザインと思う。
コントローラーも附属し、こちらも独自に設計されている。
上部には親指で操作する大きめのタッチパッドがあり、その他にトリガーと2つのボタンがある。
このプロダクトによって、VR業界でのスタンダードを獲得しようという戦略商品でもあると思われ、
デザインもシンプルで洗練されており完成度が高い。
![プロダクトのデザイン分析・観察スケッチ01 LINE Clova](https://lloon.jp/wp-content/uploads/2022/07/LINE-Clover_sketch.webp)
LINE Clova
LINE のスマートスピーカー 「clova WAVE」。(発売は2017年)
ハードウェアメーカーでないものの、
モノとしてのつくりやディティールの処理など、デザイン面でクオリティーが高い。
円錐をカットしたシンプルな造形、
底部が緑色にボンヤリ光る様もステータスを表示するデザインとして面白い。
周囲のサランネットは上面と底面のみで固定されていて、周囲はフリーな状。
そのため手で持つとずれるような感触がある点は少し難点。
(この点 Google Home Mini はいいデザインと言えるのでは。)
音声認識の精度はまだ不充分な時もあるが、音は低音がしっかり出て結構良い。
![プロダクトのデザイン分析・観察スケッチ01 Amazon echo dot](https://lloon.jp/wp-content/uploads/2022/07/Amazon-echo_sketch.webp)
Amazon echo dot
手のひらに乗る程度のこぶりなサイズだが、
音も明瞭に聞こえるため、リビングのどこに設置してもよく聞こえる。
黒い円柱部分の側面はほぼ全光沢の外観で、ちょっと光沢が強すぎる気もする。
細かい上品なシボでもよかったのでは。
今回の観察スケッチをしたデザインの中で、外観の印象は最も安っぽく見える。
よく見ると上面のカバーは色々と工夫している。
最外周はクリアな素材で、その内側はマットの黒色。
別パーツではなく一体成形で後から後ろ側にシートか塗装、もしくは異素材の一体成形。
光る仕草や回転するインジケーターデザインは綺麗だが、こちらは結構主張が強くまぶしい。
お知らせがあると断続的に黄色く光るが、こちらもかなり強めの演出。
良くも悪くも小さい割に目立つ存在と言える。
おわりに
近年身近になったプロダクトのデザインについて観察・分析してきました。
どのデザインも、既存のデザイン、造形を引用しながら、細かいディティールや工夫が施されていました。
新しいマーケットを創出するイノベーティブな商品のデザインは、
これからのデザイントレンドや設計思想を学べる良いデザインだと思います。
※ ※ ※
Balloon Inc.の視点から分析・考察したデザインリサーチの最新記事をご覧いただけます