デザイナーが2025年に買った本まとめ

2024年末に一年を振り返るということで購入した書籍をまとめました。今年も2025年を振り返るために買った本を(できる限り全て)まとめてみようと思います。
2025年は製品意味論をテーマにした論文を書くために、少しでも関わりがありそうな書籍を中心に購入していました。その他にも著名なデザイナーの書籍が復刻されたりと、デザインにまつわる書籍については様々印象的な出来事がありました。

グラフィックデザインマニュアル 理論と実践
スイスのグラフィックデザイナー/タイポグラファー/教育者、アーミン・ホフマンによるグラフィックデザインの教科書『Graphic Design Manual: Principles and Practice』(1965)の日本語復刊版。デザインの教則本として非常に有名な本書籍ですが、65年の日本語版については国立国会図書館サーチでも石川県立図書館にしか見当たらず、待望の復刊です。
造形における基本的要素として、点、線、対置、文字と記号、に4分類し、それらがグラフィックデザインにおいてどのように機能し、意味を生み出すのかを解説。ホフマン自身の作品や、彼が教鞭をとったバーゼルAGS(バーゼルデザイン学校)の学生による習作などを例示しながら、理論が実際に応用される過程が示されています。

デザインマニュアルと題された本書ですが、その内容は非常に抽象度の高いものです。上の図は「対置の習作」として示されるものですが、円形と正方形の2つの要素のサイズや配置によって、どのような意味を持つかが示されます。
こうしたプリミティブな図形によるアプローチの結果が、ひとつの作品として示される(右ページ)点も、非常に興味深いですね。
オットー・ノイラート「アイソタイプ」を読む
「言葉は分け、絵は結びつける」と主張したオットー・ノイラート。彼の大きな功績は、第一次世界大戦で疲弊したウィーン市民への啓蒙を端緒に、経済など目に見えない対象をピクトグラム(絵文字)により視覚化した点です。各専門家から提供されたデータを精査するトランスフォーマーとデザイナーの協働を提唱し、誰でもわかる情報を提供するシステム「アイソタイプ」を確立しました。本書では記号論を援用し、豊富な図版を詳細に解析しています。
復刻保存版 FRONT I 海軍号・満州国建設号・空軍(航空戦力)号
戦争のグラフィズム 「FRONT」を創った人々
第2次世界大戦時、プロパガンダのために制作されたグラフ誌『FRONT』にまつわる書籍。何かを調べていて目に入ったので購入しました。誌面の構図や写真の切り取り方、配置の仕方など非常に参考になります。当時東方社でグラフィックデザインを担当した多川精一氏による『戦争のグラフィズム 「FRONT」を創った人々』と共に読みました。

これらは作品集や過去のシンボルマークを類型化してまとめた書籍たちです。
DYNAMIC BRANDING(P)
という書籍は、ビジュアルにおけるブランディングを静的なものではなく、メディアに応じて幅広く柔軟に展開したダイナミックなデザインの事例を集めたもので興味深いです。
Optic- Optical effects in graphic design
こちらは1960年代のオプ・アートを再発見し、現代のグラフィックデザインにもたらす影響についてまとめたもの。オプティカル・エフェクトを利用したグラフィックの作例をまとめながら、その様々な形態を見ることができます。回転すると目の錯覚を起こす回転ディスクが取り付けられているのも面白い装丁のデザインです。
Monogram Logo- Anniversary Edition
Animal Logo- Anniversary Edition
Abstract Logo- Anniversary Edition
この3冊は同じシリーズのもので、モノグラム、動物、抽象図形、といったシンボルマークを類型化してまとめたものです。こうした分類については「ブランド構築のためのロゴマークデザイン5分類」という記事にもまとめています。ブランディングを考えるにあたって有用だと思います。

Airline Visual Identity, 1945-1975
世界各国の航空会社のビジュアルアイデンティティをまとめた本。1945〜75年までなので最新のものはありませんが、当時の広告やポスターなどの図版も豊富で眺めるだけで楽しいです。時代背景を考えると、今ほと空の旅が容易でなかったと思いますが、いつの時代も異国への憧れはあるんだな……と考えさせられるグラフィックです。
ロレックスの経営史
美しいブランドのつくりかた
ブランディングデザイン ユニーク・広がる・機能するデザインの考え方
実務家ブランド論

アイデア No.411 2025年 10月号
アイデア No.409 2025年 4月号
ルーダー・タイポグラフィ ルーダー・フィロソフィ- エミール・ルーダー作品集
デザインのひきだし56

Casa BRUTUS 2025年 12月号[スーパーマリオブラザーズとデザイン]
学生時代から読んでいるデザイン誌『AXIS』。2001年には専用の日本語書体となる「AXIS Font」(開発:TypeProject)を制作するなど、誌面を超えて様々な「デザイン」を体現しています。創刊は1981年と歴史ある本誌ですが、最近誌面が刷新され扱うデザインの領域も広がった印象です。
AXIS vol.234 (2025年10月号) グラフィックデザインは何を語るのか
AXIS vol.232(2025年4月号 ) EXPO 2025
HOLZ BAU 増補版 ホルツ・バウ──近代初期ドイツ木造建築
Couleurs de l’Europe
建築思想図鑑

姿勢としてのデザイン 「デザイン」が変革の主体となるとき
ゲームフルデザイン 「やりたくなる」を生み出すゲーミフィケーションの進化
「らしさ」の設計 ─ロゴづくりの先へ。
「行きたくなる」オフィス 集う場のデザイン

柳宗理 エッセイ
デザインの理念と実践
デザインの輪郭
超軽工業へ インタラクションデザインを超えて

新版 パッケージデザインを学ぶ- 基礎知識から実践まで
自動車デザイン- 歴史・理論・実務
IBMの思考とデザイン
iPhone10周年完全図鑑 (エイムック 4031)

怖くないタイポグラフィ
日本語学- 「文字とデザイン」「ローマ字の規範」(2024年12月号冬号)
2025年の春頃に京都に講演を聴きに行った、味岡伸太郎氏の『書体講座』。本書の内容はタイポグラフィですが、現在の味岡氏の活動は芸術とデザインの両方にまたがる広範なもので、それらの位置付けや作品など非常に興味深かったです。
味岡伸太郎 書体講座
+81 Vol.94

商店建築 2025年11月号 物販店のデザイン/バー&クラブ
ディテール No.245 2025年7月号
ソニーのクリエイティブセンターが刊行した雑誌。デザイナーとリサーチャーがクリエイティブな視点で実施したフィールドリサーチとインタビューの成果をまとめたものです。
SIGNALS Creative Research No.01
ヴォーグ ジャパン25周年スペシャルエディション
月刊専門料理 2024年 11 月号
販促会議2025年5月号 プロの企画書

デザインマーケティングの教科書
見えにくい、読みにくい「困った!」を解決するデザイン
システム×デザイン思考で世界を変える 慶應SDM「イノベーションのつくり方」
モバイルフロンティア よりよいモバイルUXを生み出すためのデザインガイド
モデルベースUIデザイン 構造化UIと情報設計の方法論

フランスの哲学者、記号学者ロラン・バルトの著作です。製品意味論にまつわる論文を書いているのですが、手元に無かったものを購入した感じですね。
『モードの体系』は以前読んだと記憶していたのですが、改めて手に取ってみるとここまで細かな分類をしていたのかと驚きを禁じ得ません。
モードの体系――その言語表現による記号学的分析
神話作用
エクリチュールの零度
表徴の帝国

新訳 ソシュール 一般言語学講義
意味と情報(シリーズ・人間と文化 2)
OVID(Object, View, and Interaction Design)と呼ばれるユーザーインターフェースデザインの方法論についてまとめられた本。オブジェクト指向分析でモデリングした結果をシームレスに GUI デザインに繋げるためのプロセスが解説されています。
Designing for the User With Ovid- Bridging User Interface Design and Software Engineering
デザインのイデオロギーとユートピア
ビジネス・リサーチ(はじめての経営学)
来たるべき内部観測 一人称の時間から生命の歴史へ (講談社選書メチエ 623)

知識創造企業(新装版)
2025年の初頭に惜しまれつつこの世を去った野中郁次郎氏の名著『知識創造企業』。暗黙知(言葉や数式では表現しにくい、個人の経験に基づく勘やノウハウ、直感などの知識)を形式知へ変換し、組織内で共有可能にするといった組織的な知識創造とイノベーションを生み出す「SECIモデル」が提唱されています。
暗黙知についてはマイケル ポランニーの『暗黙知の次元』を機に知ったのですが、扱う対象は似ていても目的によって結果が異なる点も面白いです。
非認知能力の発達:生涯にわたる変化と影響
認知心理学者が教える最適の学習法
身体性認知とは何か- 4E認知の地平
ヒューマン・インフォマティクス

人はなぜ物を愛するのか:「お気に入り」を生み出す心の仕組み
言語の力 「思考・価値観・感情」なぜ新しい言語を持つと世界が変わるのか?
人を動かすルールをつくる――行動法学の冒険
出来事から学ぶカルチュラル・スタディーズ
〈効果的な利他主義〉宣言! ――慈善活動への科学的アプローチ

百書繚乱- 松岡正剛のヴィジュアルブックガイド
松岡正剛氏が選書した500冊超の書籍がフルカラーで掲載されています。密度の高いデザインでありながらコンパクトなサイズで読みやすいです。図版やレイアウトもダイナミックでページを眺めているだけでも飽きません。
エセ著作権事件簿
東京藝大で教わるはじめての美学
いかにして問題をとくか
ハザマの思考 なぜ世界はニッポンのサブカルチャーに惹きつけられるのか

ビジネスフレームワーク図鑑 すぐ使える問題解決・アイデア発想ツール70
ゲームフリーク 遊びの世界標準を塗り替えるクリエイティブ集団
心眼:あなたは見ているようで見ていない
感覚史入門 なぜプラスチックを「清潔」に感じるのか
20世紀言語学入門

CSV経営戦略―本業での高収益と、社会の課題を同時に解決する
ACT 不安・ストレスとうまくやる メンタルエクササイズ
10倍ラクするIllustrator仕事術
悪文の構造 ――機能的な文章とは
教養主義のリハビリテーション
はじめて学ぶスポーツマネジメントの基礎と実践
勝者の科学 一流になる人とチームの法則

プロ目線のPodcastのつくり方
BtoB営業の仕組み化戦略
デザインのネタ帳 そのまま使えるWordPressカスタムテンプレート
強いSEO
ボツ 『少年ジャンプ』伝説の編集長の“嫌われる”仕事術
見るだけでわかる‼︎ 英語ピクト図鑑
少年誌なので想定する読者層の年齢は低いと思いますが、そうした雑誌でも「防災」をテーマに編集されているのは素晴らしいと思います。防災について学べるボードゲームも付録としてついており、いかに分かりやすく、楽しく防災について知ってもらうかという点はとても参考になります。
勉タメジャンプ 2025 Vol.1
チェレンコフの眠り
チェーンギャング・オールスターズ
おわりに
2025年に購入した本をおおまかに分類しまとめてみました。デザインに関係した書籍としては、近年さまざま名著が復刊され、アクセスしづらかった内容が読めるのは大変ありがたいことです。
他ジャンルの本と比較するとやや高額になるものも多いですが、絶版になると手に入れること自体が難しいので、機になる方は早めに購入されるといいと思います。(現代グラフィックデザインの基本書として知られるヨゼフ・ミューラー=ブロックマンの『グリッドシステム』日本語全訳版も、一時入手困難となり価格が高騰していました。)
読書に限らないですが、こうしたインプットはデザインを続ける上で非常に重要だと思いつつ、普段の仕事に忙殺されるとなかなか時間が取れないものです。そこで強制的に時間をつくって読書をするための読書会のイベント「読独倶楽部」を昨年から始めています。(下図は2025年の10月に開催した際のカバーデザインです。)
大阪の梅田近く、大阪工業大学さんに場所をお借りして毎月1回程度開催中です。普段は授業に使うようなとても広い教室で、普段とは異なる雰囲気でゆっくりと読書ができると思います。3Dプリンターや工作用の機械なども置いてある非常に魅力的な場所ですので、お近くの方はぜひ一緒に本を読みましょう。
ということで本年もどうぞよろしくお願いいたします。



