GMLブランディングデザイン
Green Marketing Lab
Branding, Art direction, Graphic design
Art Director: Shimizu Ryo
Cl: Green Marketing Lab
日本総合研究所が創設した、生活者の購買行動を環境配慮型へと変容させるプロジェクト「グリーン・マーケティング・ラボ(GML)」のVI(ビジュアル・アイデンティティ)開発をBalloon Inc. が手がけました。
自治体や企業が連携し、脱炭素市場の創造を目指す本プロジェクトにおいて、そのビジョンを象徴するシンボルマークとロゴタイプをデザイン。あわせて、多岐にわたるステークホルダー間での一貫したコミュニケーションを支えるためのブランドガイドラインを策定しています。プロジェクトの思想を視覚化し、社会へ正しく伝達するための基盤となるデザインを実装しました。
ブランドの輪郭を捉えるワークショップ
ブランドを単なるロゴや記号の集合体としてではなく、独自の意志を持つ一人の「人格」のように定義することで、目指すべきビジョンや「らしさ」を捉えます。Balloon Inc.では、コンセプト構築のプロセスにおいて、ブランドを擬人化し、3つの視点からコンセプトを策定するワークショップを実施しています。
本ワークショップでは、以下の三つの階層からブランドのアイデンティティを構造化しました。
✔️ 外見(Visual Presence): ロゴやプロダクトを通じた視覚的な記号
✔️ 信条(Core Value): ブランドの根底に流れる哲学や価値観
✔️ 性格(Brand Personality): ユーザーが抱く「誠実さ」や「力強さ」といった感性的印象
これらを「人格」という一つのイメージで共有することで、デザインの方向性を明確にし、情報の解像度を高めていきます。
次世代への「贈り物」を象徴するシンボル

GMLが目指す脱炭素社会を、次世代へ手渡すべき「贈り物」と見立てました。頭文字の「G」をベースに、リボンの造形を掛け合わせたモチーフを統合し、シンボルとしてデザインしています。
造形は、普遍性と再現性を重視したミニマルな一筆書きのストロークで構成。太く力強いラインによる「信頼・安定」と、リボンが持つ「親しみ・つながり」という、相反する印象を一つの形に統合しました。
また、その曲線の中には「G」だけでなく、反転した「M」と「L」の要素を多層的に内包することで、プロジェクトの多面的な広がりを奥行きのある造形で表現しました。

アイデンティティを構成する造形には、概念的な裏付けを持たせました。リボンのカットラインに採用した「23.4°」という角度は、地球の自転軸の傾きから導き出したものです。自然界の法則をデザインに組み込むことで、脱炭素社会を志向するGMLの思いを込めました。
あわせて、シンボルマークデザインとしての視覚的な最適化を行っています。水平方向のストロークは、垂直・斜め方向と比較して視覚的に太く見える特性があるため、3%細める補正を加えました。こうした視覚補正を行うことで、調和と一貫性を実現しています。
アイデンティティを完結させる専用ロゴタイプの設計

シンボルマークの幾何学的な構成に調和する、視認性の高い固有の表情を備えたオリジナルロゴタイプを設計。
文字「e」のテールの長さやカット角度、および「g」のディセンダー(下部)の伸張など、ストロークの調整を行いました。これにより、力強いウェイト(太さ)を維持しながらも、文字内部の空間(カウンタースペース)を確保し、小サイズでの使用や多様な媒体における可読性を担保しています。
ストロークの端部にも、シンボルマークと近い傾きのカットを施すことでシンボルマークとロゴタイプを統合させたデザインとしました。

タイポグラフィもオリジナルで描き起こし、シンボルとの統合をはかっています。
今回のロゴタイプは、走行する車に表示されるものでもあるため、可読性を重視し、均一な太さのストロークによって描きました。一つ一つの文字を力強く、信頼感のあるものにまとめています。
アイデンティティを象徴するブランドカラー「青磁色」

ブランドカラーに採用した「青磁色」は、日本の豊かな四季を刻む二十四節気において、春の訪れとともに万物が瑞々しく芽吹く情景を彷彿とさせます。古来より「秘色」として尊ばれてきたこの色彩は、釉薬の中の鉄分が炎によって変化した灰みを帯びた独特の青緑色です。
こうした、自然界の揺らぎを写し取った色味は、単なる「環境=グリーン」という記号を超え、季節の中で絶えず再生を繰り返す生命の力強さと、その循環を次世代へ繋ぐというプロジェクトの意志を表明するものです。
彩度を抑えた静謐なトーンは、GMLとしての知的な誠実さを体現しています。視覚的な心地よさと、次世代へ引き継ぐべき「贈りもの」としての品格を両立させたカラーパレットとして定義しました。

ブランドの拡張性を支えるサブカラーには、青磁色と同様に、日本の風土に育まれた色彩の文脈を引用しました。メインの「グリーン」を補完し、情報の解像度を高める四つの季節を定義しています。
春 長春色:薔薇の漢名に由来するこの色は、自然界の柔らかな熱量を視覚化します。
夏 水色:古典文学から続く清涼な色彩は、情報の透明性と誠実なコミュニケーションを司ります。
秋 黄朽葉:「朽葉」の変相色の一つ。変容し続ける社会の中で、本質的な価値を見出すための落ち着きを付与します。
冬 深川鼠: 江戸の粋と渋みを象徴。厳冬の中にある理知的で揺るぎない誠実さを表現。
これらの色彩は二十四節気という時間軸をより身近な「四季」へと翻訳し、ステークホルダーとの多層的な接点において、適切な「情報の温度感」を形成するためのカラーパレットとして運用します。


シンボルデザインはリボンのモチーフと、プロジェクト名を表す3文字を統合したものです。「ブランド・アイデンティティ・デザインのためのロゴマーク5分類」における 2.具象的図形(Representational)と 3.Letterforms(レターフォーム・字形)を併せ持ったアプローチと言えますが、モチーフの具象度を抑え、シンプルで抽象的な表現にすることでシンプルで力強いアイデンティティを表現しています。
対話を促すための「補助線」を引く
「GML」のアイデンティティ構築において、私たちが試みたのは単なるシンボルのデザインだけではありません。地軸の角度「23.4°」からの引用や、日本の風土に根ざした色彩体系をデザインに取り入れることで、プロジェクトに関わる多様な人々が、同じ温度感で未来を語り合える「思考の補助線」としてのVI(ビジュアル・アイデンティティ)開発でした。
デザインは、社会課題という巨大な問いを、個人の「好き」や「こだわり」といった身近なことへと接続するための翻訳作業としても活用できると考えます。今回策定したガイドラインが、次世代へ贈る「贈り物」を包む確かな包材となり、多くの対話を生む基盤となることを願っています。
Balloon Inc. では、ブランド戦略の立案から実施運営まで、初期段階から一貫してサポートしています。ブランディングをはじめプロダクト・グラフィックデザインなど幅広い領域で伴走支援が可能です。お気軽にお問い合わせください。
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