テレビの情報デザインー緊急事態宣言にみるレイアウト比較分析01
レイアウトから見る「緊急事態宣言」テレビ中継
2020年4月7日、拡大する新型コロナウイルス感染症防止に向けて、緊急事態宣言が出されました。
日本のテレビ局は急遽内閣総理大臣会見のライブ中継を行い、詳細を伝えています。本リサーチは、当時ライブ中継されたテレビ画面のレイアウトデザインを通じて、情報デザインのあり方について比較分析を試みたものです。
それぞれのテレビ局が、情報をどのように分けて「どの情報が重要だと考えているか」、それらに対してどの程度のエリアを確保しているか、レイアウトを各局比較分析しました。(4月17日に2度目の緊急事態宣言が発出されました、そちらの比較分析は「テレビの情報デザインー緊急事態宣言にみるレイアウト比較分析02」としてまとめています。)
概要はカバーのグラフで、それぞれテロップや補足情報、中継エリアと分けて面積比を算出しています。(テレビ朝日は偶然地図が大きく映っている場面ためか、他と明らかに違う割合です。)
NHK
・ライブ中継している局で唯一のブルー基調。スーツの色と色相が似ているのでパッと見シンプルに見えるが情報量は異常に多い
・ディレクターが複数いるため、複数のフレームが混在しているとのこと
・左の帯と手話上のタイトルが同じで冗長
・QRも二つあり、動線としてはわかりづらい
・結果的にどの情報が重要か、判別しづらい
TBS
・右半分に会見のポイントを提示していてわかりやすい
・文字情報がほぼ右半分にまとまっていて視線移動が少ない
・「会見のポイント」よりも「パニックは、、、」の方が赤字で強調されているため、内容とデザインのギャップがある
テレビ朝日
・会見にまつわる補足情報があるのはいい
・地図や中継フレームにパースがかかっているため見づらい
・唯一背景(情報提示に寄与していないエリア)があり、もう少し情報を効果的に掲載できたのでは
・強調色の赤が多用されていて、画面が眩しい
・どの部分も強調するため、全てを赤にした結果どの部分も強調されない例
テレビ東京
・一番シンプルで読み取りやすい
・日本語が聞ける、もしくは読めるという前提であれば、このレイアウト情報量が適切なのでは
フジテレビ
・情報の帯が上下のみでわかりやすい
・赤色の面積が多く、注目する箇所が分散している
・各局で唯一、当日の「感染者数」が提示されている
・速報のカット見出しが2回出るなど、冗長な部分がある
読売テレビ
・地図でエリア明記してるのはわかりやすい
・手話、地図の周囲のフレームが、明度彩度の高いピンクで強調しすぎている
・重複する情報は無いが、帯ではない(ウェイトや文字カラーなど)文字を強調してもいいのでは
おわりに
最初の緊急事態宣言だったこともあり、各局が同じタイミングでライブ中継を実施していました。どの部分が共通で、どこに違いがあるのかをレイアウトと情報エリアの面積で比較したものです。
日本語は縦組みでも文字を表記できるため、全体的に画面の4辺周囲をフレームのように囲むことでメインの中継を映しながら、情報エリアを確保する、という方針のようにみえます。
TBSは、ほぼリアルタイムで要点を表示していてそのため手話を表示しない選択をしている点は特徴的でした。膨大な情報量の中でどの部分を取捨選択するかという姿勢が現れたものだと考えます。一方NHKでは、話す人の顔だけではなく、手の動きまで映るような画角で中継しており、表情以外からも緊張感や緊急事態宣言を発出するという重大さを読み取ることができました。
4月17日の2度目の緊急事態宣言については「テレビの情報デザインー緊急事態宣言にみるレイアウト比較分析02」にてまとめています。
テレビの情報デザインー緊急事態宣言にみるレイアウト比較分析02
2020年4月17日、拡大する新型コロナウイルス感染症防止に向けて2度目の緊急事態宣言が出されました。 日本のテレビ局伝えたライブ中継のレイアウトを通じて、情報をどのように分けているのか、どの部分を重要だと考えているかに着目しレイアウトデザインを各局比較分析しました。
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