7Upのブランドロゴ刷新事例 簡素化と精緻化のブランド

7Upのブランドロゴ刷新事例

7Upは1929年から販売されているレモン風味のソフトドリンクブランド。飲料はペプシコによってグローバル販売されている(アメリカ、イギリス、アイルランドを除く)。一方ブランドはドクターペッパー・スナップル・グループが所有。

今回のブランド刷新はペプシコ社内の “PepsiCo Design & Innovation Team” によるデザイン。サイトにはスタジオの人間中心設計指針や、ペプシコが展開するプロダクトブランド群のデザインワークをまとめた年鑑など、ブランドの多様な側面が確認できる。これらも価値のあるコンテンツとなっており、注目しておくべきものだ。

分類1_抽象的図形
分類4_ワードマーク・文字

デザインは数字の「7」に抽象的な赤い円形を統合させたもので、類型化すれば、4.Wordmarks(ワードマーク・文字)をベースに、1.Abstract(抽象的図形)を組み合わせたものと捉えられる。

ロゴマークデザインの分類について「ブランド・アイデンティティ・デザインのためのロゴマーク5分類」へもまとめています。

シンボリックな赤い円を際立たせたフラットなデザイン

7Upのブランドロゴ刷新事例

近年のリブランディング事例のトレンドに沿うように、要素を取り除いたシンプルでフラットなデザインへ変貌を遂げた。

左はグローバルブランドのこれまでのデザイン。赤い円形の周囲には細かい泡の要素が描かれており、この円形もブランドの象徴的なシンボルとして機能している。今回のリブランディングでは、その赤い円形の背後に補色であるグリーンが施され、これまで以上にその輪郭が際立っている印象だ。

一方数字の「7」のアウトラインは省かれており、相対的に円と「up」を強調するデザインとなった。

7Upブランドの要素を削ぎ落とし続けた先に残るものは何か?

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缶パッケージ、広告やアプリなどへ展開したイメージ。「7」のシャドウは大胆に切り取られ、動きをともなったダイナミックなグラフィックエレメントが展開されている。

ブランドカラーであるグリーンを起点に、シンプルで力強いタイポグラフィと組合わせられている。

ここでも赤い円形の持つ誘目性は強く発揮され、今回のリブランディングのコンセプトである「UPliftment(上昇・高揚)」を非常に巧みに表現している。

7Upのブランドロゴ刷新事例

赤い円の中の文字は多言語への対応を想定されているようで、コンセプトムービーで展開されるイメージを上に示した。

中央の中国語(幸せ)」や右のタイ語คัพ(カップ)」など書体のテイストを合わせながら、それぞれの文化に応じたローカライズが興味深い。

7Upのブランドロゴ刷新事例
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鮮やかなカラーリングの缶パッケージデザインは、レモンとライムを連想させる明るい色合いが使用され、清涼感を一層引き立てている。

数字の「7」は缶の高さいっぱいに広がり、右下に伸びるシャドウがダイナミックな効果を生み出している。また、控えめに施された柑橘系の果物を思わせるオブジェクトとの組み合わせが、テイストの補助線となり爽やかさを加えている。

商品カテゴリーによってグリーンの明るさは異なるが、そのいずれの中心にも存在する鮮やかな赤い円形が際立っている。この巧妙な配置によって要素が巧みに組み合わさり、印象的でありながらも洗練された印象を与える。

7Upブランドのアプリケーション展開

7Upのブランドロゴ刷新事例
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サイネージや広告イメージでも、「Up」のグラフィックが際立って見える。

「7」のアウトラインを削ぎ落とす決定は勇気の要るものだと想像するが、(ブランド名「7」の存在感が希薄になる懸念がある)それを大胆に実行し、クオリティの高いグラフィックへまとめた。

同じペプシコが展開するPEPSI(ペプシ)ブランドでは、若干ノスタルジックなトーンと「缶のシルエット」を視覚的シンボルとしてデザイン・展開していた。よりシンプルに洗練された「7up」との比較は興味深い。

下はコンセプトムービーの主要カットを並べたもの。

「7」に似たウェイトの太い書体を用いブランドとしてのアイデンティティを構築しながらも、シンプルなトーンの一貫性を維持している点は特筆すべきである。

7Upのブランドロゴ刷新事例

おわりに

ブランドを構成する要素を徹底的に削ぎ落とした結果、タイポグラフィと円という、シンプルで強いアイデンティティを持つデザインに至った見事なデザインだと思います。

これを実現したのは、アウトラインのない「7」のデザインであることは間違いないでしょう。

ブランディングにおいて要素を絞り込み、いかにシンプルにまとめるか、その重要性を再び思い起こさせる素晴らしい事例でした。

*記事内で使用した「7Up」のシンボルマーク・ロゴタイプおよび関連画像は、全て “PEPSI” に帰属します。

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