Meta(メタ)のロゴタイプデザイン刷新事例 グリッド分析とロゴタイプ比較
メタバースという世界観を描くロゴタイプ
2021年で実施されたリブランディング事例の中でも大幅な刷新を図ったことで知られる「Meta(メタ)」。今回は主にそのロゴタイプ(ワードマークとも言う)についてリサーチと詳細分析を行った。
*シンボルマークについての分析については「Meta(メタ)のシンボルロゴにおける立体表現と細部調整分析」にて比較分析している。
META(メタ)のシンボルロゴにおける立体表現と細部調整分析
FacebookからMeta(メタ)にリブランディングされたシンボルロゴを、データをひもときながらデザインの分析を行いました。抑揚のあるストロークが描く軌跡と、それによって表現される立体感。ブルーのカラーを基調としたパレットの中にわずかに加えられた赤みなど、シンボルロゴのデザインの参考になる点をまとめました。
Facebookにみるリブランディング事例
2023年に実施された、Facebookのリブランディングについてその事例と分析を行っています。
社名を変更し「Facebook」から「Meta(メタ)」となった大幅なリブランディングだが、ロゴ(ロゴタイプ)についても大きくそのデザイン指針が変わっているようだ。「Facebook」のすべて大文字(UPPERCASE)による文字とゆったりとした字間を持ったものから、頭文字のみ大文字(Capitalize)に変更され、字間もタイトに調整されている。
カラー規定はデータによれば「Dark Gray」との名称で、シンボルマークに青みがかった濃いグレーが規定されている。完全な黒(#000000)ではないため、白い背景の上にもなじみ、字形のデザインとあいまって、クリーンで非常に現代的なロゴタイプという印象だ。
ロゴにおける
大文字(キャップハイト)と小文字(エックスハイト)比較
Capitalizされ、小文字が含まれたMetanのロゴデザインについて分析したい。特に大文字の高さ(cap-height)と小文字の高さ(小文字のxを基準にすることからx-heightと呼ぶ)の比率は文字全体の印象を大きく左右するため、書体のデザインにおいて重要なポイントである。
x-height(tの横ストロークの上側)を1とすると、cap-height(大文字のMの高さ)約1.342で35%程度の差がある。
ロゴの文字造形で比較的近い書体は「Raleway」と思われる。実際に比較してみるとx-heightのバランスは非常に近く設計されていることがわかる(上図左下)。Metaが1:1.342に対して、Ralewayは1:1.355と、RalewayよりもMetaのロゴの方がわずかにx-heightが高い。
その他よく使われるサンセリフ体の「Helvetica」では1:1.382、「Univers」では1:1.440と、これらの書体では大文字と小文字の差が大きく設計されている。
長い文章を組む場合、大文字と小文字の高さの差が少ないと単語や文節の切れ目の認識が困難になり可読性が下がるため、一定程度のコントラストを確保するのが一般的だ。
一方でMetaのようなロゴや、短い単語のみで表記されるサイン計画などの場合、限られた文字の組み合わせしか考慮する必要が無いため、x-heightの高さを高く調整することで、全体のバランスと可読性を高める意図があるものと思われる。
ブランドのロゴはどこまで「幾何学的」であるべきか
上述のように比較的近い造形を持つ「Raleway」だが、細部を比較しながら分析していくと設計の方針は大きく異なるようにみえる。
上図は左に「Meta」ロゴの、右に「Raleway」のそれぞれ大文字の「M」を並べたものである。特に中央に向かって伸びる傾斜のついたストロークの角度と、その交点をグリーンのラインで強調した。
「Raleway」では斜めのストロークの交点(延長した想像上の交点を含む)の下側部分は、すべて文字の中央に位置しているのに対して、「Meta」ではわずかに左側へ移動されている。
これは、それぞれの文字を左右反転し、紫で色づけしたものだが「Meta(左側)」の方がはるかに調整幅が大きいことがわかる。「Raleway」は、左右の縦ストローク含めほぼすべてが左右対称のデザインであるのに対し、ストローク太さも微妙に調整し、全体のバランスをとっている。
また、各ロゴのストローク太さの抑揚について分析し、太さに応じて円形のサイズで表したものが上図である。こちらもかなり詳細に調整されている。主要な部分のストローク太さを比較したものだが、「M」だけをみても斜めストロークそれぞれで太さを変え、角度を含めた細かい調整がされているのが見て取れる。
一見すると幾何学的なサンセリフ体のように見えるが、詳細な分析をすると、ストローク太さと角度の調整によってアイデンティティ構築とクオリティ向上に寄与しているのがわかる。
おわりに
今回のリサーチでは、2021年にリブランディングされた「Meta」のロゴ(ロゴタイプ)を取り上げました。
前回分析を行った「Meta」のシンボルと比較しても、その完成度に見合った細やかな調整が施されたロゴでした。一見するとストローク太さも一定で割り出しがしやすい非常に幾何学的な印象でしたが、シンボルと同じく有機的で人間的な跡が見て取れたのは興味深かったです。
シンボルロゴの分析については「Meta(メタ)のシンボルロゴにおける立体表現と細部調整分析」にもまとめています。
META(メタ)のシンボルロゴにおける立体表現と細部調整分析
FacebookからMeta(メタ)にリブランディングされたシンボルロゴを、データをひもときながらデザインの分析を行いました。抑揚のあるストロークが描く軌跡と、それによって表現される立体感。ブルーのカラーを基調としたパレットの中にわずかに加えられた赤みなど、シンボルロゴのデザインの参考になる点をまとめました。
Facebookにみるリブランディング事例
2023年に実施された、Facebookのリブランディングについてその事例と分析を行っています。
*記事内の「Meta」のロゴタイプは、全て「Metaのブランドリソースセンター」より引用しています。
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