「選ばれる理由」の作り方ーブランディングとデザインについて

Balloon Inc.選ばれる理由:ブランディングとデザイン

デザインの本質は、単に「見た目を整えること」だけではありません。2023年12月23日、奈良女子大学で開催された第76回KNS(関西ネットワークシステム)定例会にて、弊社Balloon Inc.代表の志水良が「ブランディングとデザイン」をテーマに登壇しました 。

なぜ、同じような機能を持つ製品でも、私たちは特定のブランドを選んでしまうのか。講演で解説した「ペプシパラドックス」や「ブランド・パーソナリティ」の概念を交え、ブランド価値を最大化するための設計手法を公開します。

「選ばれる」の正体:ペプシパラドックスにみるブランドの力

Balloon Inc.選ばれる理由:ブランディングとデザイン「ペプシパラドックス」

マーケティングの世界には「ペプシパラドックス」という有名な現象があります 。1975年に行われた味覚テストでは、ブランドを隠した状態(目隠しテスト)ではペプシコーラを好む人が多かったにもかかわらず、ブランドを明かした状態ではコカ・コーラを好む人が上回るという結果が出ました 。

これは、長年築き上げられたブランドイメージ(幸福感や歴史など)が、物理的な「味」という感覚評価さえも上書きしてしまうことを示しています 。

ブランディングとは、こうした「ユーザーの解釈」にポジティブな影響を与え、採用費、広告費、原価費、営業費といったあらゆるコストに対する「価値の貢献」を生むための戦略なのです

ブランドを「人」に見立てる:3つのアプローチ

Balloon Inc.選ばれる理由:ブランドとデザイン「ブランドパーソナリティ」

ブランドを単なるロゴや名称として捉えるのではなく、一人の「人間」のように定義することで、その方向性は明確になります。講演では、以下の3つの視点からブランドを捉える手法を提案しました 。

✔️ 外見(イメージ): ロゴ、ビジュアル、プロダクトのデザイン
✔️ 信条(コンセプト): ブランドが大切にしている価値観や思想
✔️ 性格(パーソナリティ): ユーザーが抱く「力強い」「誠実だ」といった擬人化された印象

記憶に残すための「ブランド・パーソナリティ」設計

Balloon Inc.選ばれる理由:ブランドとデザイン「ブランドパーソナリティ」ワークショップ

心理学者ジェニファー・アーカーが提唱した「5つのディメンションフレームワーク」を用いることで、ブランドの性格を戦略的に類型化できます 。

誠実(Sincerity): 健全、信頼、明るい
刺激(Excitement): 大胆、想像力豊か、今どき
能力(Competence): 信頼できる、知性的、成功
洗練(Sophistication): 上品、お洒落、魅力的
頑丈(Ruggedness): 無骨、力強い、アウトドア

なぜ性格を決める必要があるのか。それは、ハミルトンの印象形成実験が示す通り、人は個別の情報をバラバラに覚えるよりも、「一つの概念(性格)」として関連づけて記憶する方が、圧倒的に効率よく、多くの情報を保持できるからです 。

Balloon Inc.選ばれる理由:ブランドとデザイン「ブランドパーソナリティ」ワークショップ

デザインが経営とユーザーをつなぐ

Balloon Inc.では、こうした理論に基づき、数多くのプロジェクトを手掛けてきました。

✔️ BOSAI Universal Design: 世界に誇る日本の防災を伝えるハンドブック制作
✔️ DENTUME!!(関西電力): 知的インフラ創造拠点のブランディング

「機能」や「性能」が似通ってしまう現代において、一貫したブランド・パーソナリティは、競合との差別化を決定づけるオリジナリティを生み出します 。


執筆者プロフィール:志水 良(Shimizu Ryo)

Balloon Inc. CEO / アートディレクター
OUZAK Design、キーエンスでのデザイン経験を経て、現在はブランディング、UI/UX、工業デザイン、グラフィックデザインまで幅広くカバー。JAGDA・JIDA正会員、German Design Award、A’ Design Award、Graphis Brandingなどを受賞。TEDx Kyotoへの参画など、デザインを通じた社会実装を推進している 。
・Balloon Inc. 公式サイト: lloon.jp