大阪大学FICCTブランディングデザイン

FICCT

Branding, Art direction, Graphic design
Art Director: Shimizu Ryo
Cl: FICCT

Graphis Design Annual 2026 Silver Award 受賞!

アートディレクションを手がけた「FICCT」のブランディングプロジェクトが、
Graphis Design Annual 2026にてSilver Awardを受賞しました。

プロジェクトのメンバーによるワークショップ設計とアイデンティティの抽出から、ブランドコンセプトの策定、シンボルマーク、ロゴタイプのデザインなど伴走支援を実施しています。イベントのメインビジュアルをはじめポスター、テーブルサインなど体験の設計などブランド運営のためのデザイン支援も手掛けています。

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Graphis Design Annual 2026

大阪大学が推進する「住民と育む未来型知的インフラ創造(FICCT)拠点」のブランド開発、デザインをBalloon Inc. が担当しました。

本拠点は、大学という専門知の集積地を市民社会へ開き、住民と共に未来の社会基盤(知的インフラ)を共創していくためのオープンなプラットフォームです。学術的な厳密さと、市民に開かれた親和性。この相反する要素を高い次元で統合し、拠点のビジョンを社会へ正しく伝達するためのアイデンティティ構築をめざしました。

ワークショップ:文脈の整理と「らしさ」の抽出

アイデンティティ構築の起点として、プロジェクトのメンバーを交えたワークショップを実施しました。

学際的な研究者、行政、そして住民。多様なステークホルダーが介在するFICCTにおいて、まず取り組んだのは幅広い分野に広がる研究テーマの把握です。対話を通じて、テーマごとに持つ目的や優先順位を多層的に観察し、組織の拠り所となる「らしさ」を言語化しました。

ワークショップでは、ブランドを一つの「人格」に見立て、その信条や性格を定義するプロセスを導入。抽象的な「未来型知的インフラ」という概念を、どのような「外見(イメージ)」と「信条(コンセプト)」で社会へ実装すべきか。その共通認識を形成することで、後に続く視覚設計の論理的な裏付け(補助線)を強固なものにしました。

本ワークショップでは、以下の三つの階層からブランドのアイデンティティを構造化しました。

✔️ 外見(Visual Presence): ロゴやプロダクトを通じた視覚的な記号
✔️ 信条(Core Value): ブランドの根底に流れる哲学や価値観
✔️ 性格(Brand Personality): ユーザーが抱く「誠実さ」や「力強さ」といった感性的印象

これらを「人格」という一つのイメージで共有することで、デザインの方向性を明確にし、情報の解像度を高めていきます。

シンボルマーク:認識の変容を促す「ページ」のディティール

大阪大学FICCT_シンボルマークデザイン

シンボルマークは、知の深層へアクセスし、新たな価値観を提示する拠点の役割を「めくられる紙」のモチーフによって視覚化しました。

認識の変容(!)の組み込み
円形の構図の中に、新たな気づきや意識の変化を象徴する感嘆符「!」を統合しました。住民と大学が交差する場で生まれる「発見」の瞬間を、記号的なアクセントとして配置しています。

知の連続性と一体感
めくられた紙の裏面を表面と同一のブルーで統一することで、既存の知と新たな発見が地続きであることを表現しました。造形的な一体感を高めることで、知的インフラとしての安定感と、情報が循環し続けるプロセスを象徴させています。

単なる視覚的なメタファーに留まらず、ページをめくるという能動的な行為が、社会のアップデートへと繋がっていくという「FICCT」の意志を、簡潔な幾何学構成の中に定着させました。

大阪大学FICCT_ロゴタイプデザイン

拠点の名称である「FICCT」のタイポグラフィは、骨格から計したオリジナルの書体によって構成されています。

対話の意匠を宿す「C」:
拠点のめざす「対話」を象徴するため、左下に向かってツノが伸びるような吹き出しの造形を、文字「C」の構造へ統合しました。文字の一部として機能させることで、拠点の核心であるコミュニケーションのあり方を記号的に表現しています。

ブランドカラー:知的さを象徴するブルーの体系

大阪大学FICCT_ブランドカラー

ブランドカラーは、知的基盤(インフラ)としての信頼性と、社会への実装力を象徴するブルーを基調に選定しました。

GML_日本総研 ブランディングデザイン_ブランドカラーパレット

また、めくられた紙の裏面や背景などに組みわせるセカンダリーカラーについては、上図のように規定しています。同じ色味のブルーを明るくしたものに加え、ニュートラルで様々なアプリケーションでの展開性に優れたグレーを洗濯しました。

社会実装のインターフェース:市民と知を繋ぐツール設計

大阪大学FICCT_ブランドカラー

FICCTが主催した、イベントにおけるビジュアル、ツール群をデザインしました。学術的な知見を日常の文脈へと翻訳し、市民が主体的に参画できる「場」の質感を設計しています。

GML_日本総研 ブランディングデザイン_ブランドカラーパレット

視覚的な導入としてのポスター・チラシ:
拠点のコンセプトである「知的インフラ」と「ページをめくる(変容)」という視覚言語を、広報ツールへと展開。複雑な学術的背景を解体し、市民が自分事として観察できる解像度へと情報を整えました。

対話の温度感を制御するサイン・名札:
名札やテーブルサイン、ポスターなどの空間ツールは、単なる識別記号ではなく、参加者間の「対話」の質を一定に保つための指標として機能させました。シンボルに込めた「吹き出し(対話)」の意匠を空間に散りばめることで、拠点のアイデンティティを体感的なものへと昇華させています。

GML_日本総研 ブランディングデザイン_ブランドカラーパレット

らしさの抽出:未知の良さを言語化し、構造を導き出す

大阪大学FICCT_ブランド開発ワークショップ

プロジェクトのメンバーによる「コンセプトキーワード・ワークショップ」は、デザインに着手するにあたって上図のようにまとめ、視覚化しました。。本拠点のミッションである「住民と育む未来型知的インフラ」という抽象度の高い概念を解体し、言葉と図解によって「モノとヒトとの新しい関係」を定義するプロセスです。

ワークショップで提案された様々なキーワード群を観察し、4つの層(グループ)へと構造化しました。

共創の主体と場: 若手が躍動し、多様な価値観が混ざり合う「クリエイティブ・クラス」の活動拠点としての側面。

社会基盤の提供先: 技術が生活に溶け込み、日常を支える「インフラの民主化」の実現。

深層へのアプローチ: 「声なき声をかたちにする」といった、人々の意識・無意識レベルに作用する情報の質。

実装される未来: 納得感のある生活を支え、持続的に変化し続ける知的インフラの構築。

これらの多角的な視点をマッピングし、FICCTが目指すべき「未知の良さ」を言語化することで、視覚設計における揺るぎない「補助線」を構築しました。

ロゴタイプに見られる「対話(吹き出し)」の意匠や、シンボルが示す「認識の変容(ページをめくる)」といった造形は、すべてこのワークショップから導き出された「らしさ」の結晶です。

ブランドガイドライン:思想を定着させるための「型」の定義

アイデンティティを一時的な造形で終わらせず、組織の文化として定着させるために、包括的なブランドガイドラインを策定しました。

研究者、事務局、そして住民。多様な背景を持つ主体が介在するFICCTにおいて、ガイドラインは単なる規制ではなく、拠点の志を正しく発信するための「共通の作法」として機能します。

ロゴの使用規定や色彩体系、タイポグラフィの運用ルールを厳密に定義。あらゆる媒体において、ブランドの一貫性を損なうことなく、統一されたメッセージを社会へ届けるための基盤を整えました。

FICCTで開発したブランドのシンボルデザインはエクスクラメーションマークとページをめくるというモチーフ組み合わせたもので、「ブランド・アイデンティティ・デザインのためのロゴマーク5分類」における 2.具象的図形(Representational)に分類できます。

また、ロゴタイプについても単なるタイポグラフィとしてだけではなく「吹き出し」のディティールを組み込むことで、2.具象的図形(Representational)のアプローチを採用し、シンボルマークのデザインと整合させました。

分類3_レターフォーム・字形

おわりに:知の循環を支える「補助線」として

「知的インフラ」を住民と共に育むというFICCTの試みは、未来の社会のあり方を再定義する極めて重要なプロセスです。

Balloon Inc.の役割は、その複雑なビジョンを安易に簡略化するのではなく、ワークショップを通じた観察と対話によって「らしさ」を整え、誰もが共有できる確かな「思考の補助線」を引くことでした。今回構築したアイデンティティやツール群が、知と社会が交差する場において、新たな価値を生み出し続ける強固な基盤として機能することを期待しています。

Balloon Inc.は、組織の思想やプロジェクトの核心を論理的に整理し、最適なビジュアルと言語へと翻訳するデザインスタジオです。

ブランド戦略の立案から実施運営まで、初期段階から一貫してサポートしています。ブランディングをはじめプロダクト・グラフィックデザインなど幅広い領域で伴走支援が可能です。お気軽にお問い合わせください。

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