Mobility Next ブランド開発
Mobility Next iInc.
Branding, Art direction, Graphic design
Art Director: Shimizu Ryo
Cl: Mobility Next iInc.
モビリティの未来を見据えたブランド開発のプロセス
Mobility Next Inc.(株式会社モビリティネクスト)は、人々の豊かな暮らしに貢献するというビジョンを掲げ、従来のタクシー運行から脱却した枠に捉われない革新的なモビリティサービスを提供する会社です。自動運転タクシーやドローンの活用など未来のモビリティの可能性を創造し、より便利で快適な移動体験を提供することを目指しています。
ブランド開発のプロジェクトを立ち上げるにあたっては、最初に以下のような全体のロードマップを策定し、それぞれのフェーズ毎の関係性や必要な期間などについてのプランを共有します。

ブランド構築にあたって、最も重要なパートはコンセプト策定です。既存事業の調査・分析から、モビリティに対するビジョン、創業者の思いなど多角的にリサーチし、ひとつのコンセプトワードマップにまとめていきます。
モビリティの未来への可能性や、ビジョンを体現するような領域におけるブランドを開発するため、分野や技術にまつわる周辺のワードや連想される概念を書き出し、相互の関係を可視化したものです(一部抜粋)。

上で策定したコンセプトに基づいて第1次デザイン案を展開し、まずはコンセプトや目指すイメージとのすりあわせを行います。
この段階(第1次デザイン)では複数のデザインを提示しながら、その後いくつかの段階を経て方向性を絞り込んでいきます。
人の手の跡を残したシンボルデザイン

絞り込みを行い、会社のアイデンティティを具体化しているデザインについてのディスカッションを繰り返しながら、最終的にまとまったものがこのデザインです。
社名の頭文字「M」を、手描きのストロークでデザインしたシンボルとしてまとめています。30°斜めに傾いた角度とし、勢いのある造形することで先進性やスピード感、移動を連想させます。
人の手の跡を残すように、シンボルのストロークが折り返される部分を若干太く、墨だまりのような表現を加えました。太さに変化を持たせることで、奥行きのある造形としています。

タイポグラフィもオリジナルで描き起こし、シンボルとの統合をはかっています。
今回のロゴタイプは、走行する車に表示されるものでもあるため、可読性を重視し、均一な太さのストロークによって描きました。一つ一つの文字を力強く、信頼感のあるものにまとめています。

ブランドカラーは、明るいブルー系のグラデーションを用い、街中でも目を惹くカラーパレットを規定しています。
色味を「紫ー青ー緑」と変化をもたせ、加えて右側に向かうに従って少しずつ明るくなるように明度を調整しています。そうした調整によって、より先進性やスピード感を表現しました。

またシンボルマークをロゴタイプに統合するバリエーションも展開しています。掲載できる面積が少ない場合や、画角が限られた場面などでの活用を想定したデザインです。
造語としての覚えやすさや読みやすさという点も考慮し、シンボルデザインは社名の頭文字「M」を強調したシンプルなものです。「ブランド・アイデンティティ・デザインのためのロゴマーク5分類」の 3.Letterforms(レターフォーム・字形)にもあるように、シンプルで力強いアイデンティティを表現しています。
街を走る車へのアプリケーション展開

ブランドのシンボルマーク・ロゴタイプが決定したのち、車体デザインや、サイン、行灯(防犯灯)などへ展開していきました。
車体のサイド面に掲出する場合は、左右の片側はロゴタイプを読む方向と車の進行方向が逆になるため、ロゴタイプよりもシンボルマークをより強調した組み合わせを採用しました。


そのほか、会社用の名刺や封筒にも、統合したブランドアイデンティティを表現することで、一貫性を保っています。

社名の頭文字「M」をベースにデザインされたMobility Nextのシンボルは 3.Letterforms(レターフォーム・字形)となります。
今回は街中を走行する車に表示するブランドということで、一般的なデザインに比較しても、より可読性や印象の強さを強調したアイデンティティとしています。「M」というシンプルで覚えやすいレターフォームをベースにデザインすることで、ブランドのオリジナリティを体現しました。
ロゴマークデザインについて5つの分類を行っております。分類全体の特長やそれぞれの詳細については「ブランド・アイデンティティ・デザインのためのロゴマーク5分類」もご覧ください。