ASTRA CARTAブランド事例 ジョナサン・アイヴ「LoveFrom」
元 Apple のジョナサン・アイヴと彼のスタジオ LoveFrom, が手がけた ASTRA CARTA のブランド事例を取り上げます。
ASTRA CARTA は「世界の宇宙関連産業全体で持続可能な実践の加速を主導するための民間部門のためのロードマップ」を提供する組織。2022年に開催された Space Sustainability Summit のひとつの結実とのこと。
デザインの分類は、5. Emblems(エンブレム)と解釈できそうです。現在でも紋章の使用について厳格に定めているイギリス(紋章及び系譜を管理・統括する紋章院が存在する)を象徴するような、伝統的な形式を思わせるモチーフです。
ロゴマークデザインの分類について「ブランド・アイデンティティ・デザインのためのロゴマーク5分類」へもまとめています。
多層的なエレメントの配置とエンブレムによるブランドデザイン
チャールズⅢ戴冠式のブランディングデザインと同様の、具象的なモチーフを円形に統合するアプローチは健在です。透明度のコントロールによって複数の要素の存在感が巧みにコントロールされているのがわかります。
各エレメントの配置は、神聖幾何学(sacred geometry)によって定義されているとのこと。あまり聞きなじみが無いですが、神学的・象徴的な意味合いを持つようです。
宇宙がテーマとのことで、天文運動と天体が重ねられています。地球が円の中心の大きく描かれ、その他にも月や火星、金星、水星が描かれています(上図中央)。
また、円の背景全体に金星と地球が8年ごとに互いの周りを周回するパターンが描かれています(上手右)。
その他にも星座が配置され、北半球と南半球の両方の夜空の象徴的な星座としてオリオン座、一角獣座、ケンタウルス座、しし座、おおぐま座の北極星などが含まれています(上手中央)。
サマリーや憲章などもすでに用意されており、Webサイトからダウンロードできます。
チャールズⅢ戴冠式ブランドデザインを保管する位置づけのものとのことで、同じく具象的な要素の多いこちらのブランド事例についても参考になります。